ウィーン直行便の再開
オーストリア航空は、昨年9月より運行を休止していた「成田~ウィーン線」を2018年5月16日より再開するとのニュースが飛び込んできた。
国土交通省への認可申請中とのことで、週5便(月・火・水・木・土曜日)が予定されているという。
https://twitter.com/Lufthansa_JP
ボーイング777-200型機の運行予定である。
ザルツブルク・アニフ村への訪問が遠のいていたので、この夏一番の朗報である。
「暗黙の了解」の例外
カラヤンがベルリン・フィルの第4代の常任指揮者であった期間、他の指揮者はベルリン・フィルを指揮して、ベートーヴェンとブラームスの交響曲を録音しないという「暗黙の了解」があった。
Kの韻を踏んで、"Kaiser - Karajan" と呼ばれ、(日本では「帝王カラヤン」の名を欲しいままにして)絶大な人気を博していた70年代以降は以降は言うまでもないが、60年代の初めにわずかな例外を指摘できるが、この「暗黙の了解」は守られ続けた。
反対にカラヤンがベルリン・フィル以外のオーケストラを指揮するとき、(これは主にウィーン・フィルに限られていたわけだが)ベートーヴェンとブラームスの交響曲は演奏しないとの「暗黙の了解」があった。
カラヤンの晩年におけるウィーン・フィルとの演奏会、レコーディングにおいてブルックナーやチャイコフスキー、シューマン、モーツァルト、シューベルト、ドヴォルザークの交響曲が取り上げられたのはこのためである。
しかし、これも1984年に例外がある。
この年はベルリン・フィルとの軋轢が生じていて、ザルツブルク聖霊降臨祭、ザルツブルク音楽祭、ルツェルン国際音楽祭ではウィーン・フィルとブラームスの交響曲第1番が演奏された。
この写真は1984年6月11日、ザルツブルク聖霊降臨祭でウィーン・フィルとブラームスの交響曲第1番を指揮しているときのものである。
【公開リハーサル音源】 ワーグナー/ジークフリート牧歌
1988年3月27日にザルツブルク・イースター音楽祭後援会・会員向けに行なわれた公開リハーサルの音源、ワーグナー/ジークフリート牧歌を確認した。
この音源はオーストリア・第1ラジオで2014年7月に「カラヤン没後25年番組」として放送されたものである。
http://oe1.orf.at/programm/377251
通常の公開リハーサルでは、カラヤン自らマイクを持って客席の会員にわかりやすく、曲目を解説しつつリハーサルを行なうのだが、このジークフリート牧歌は一度も止めることなく全曲を通して演奏されている。
また、1987年4月12日には、この年の公開リハーサルが行なわれており、R.シュトラウス/交響詩「ドン・キホーテ」のリハーサル音源が存在する。
この4枚の写真は、年次は判らないがイースター音楽祭での公開リハーサルのものである。
1988年のジークフリート牧歌が確認されたことで、カラヤンの生涯演奏会回数は3533回(幼少期のピアノ演奏会は除いて)となった。
【新刊】カール・レーブル 「僕は奇跡なんかじゃなかった」 音楽之友社
音楽之友社よりカール・レーブル著/関根裕子訳「ヘルベルト・フォン・カラヤン 僕は奇跡なんかじゃなかった-その伝説と実像-」【ISBN978-4-276-20379-2 C1073】が刊行された。
著者のカール・レーブルは1930年生まれで2014年にお亡くなりになっている。
原書は2014年にウィーンの Seifert Verlag より刊行されており、1978年に書かれた "Das Wunder KARAJAN" (「奇跡のカラヤン」)の新装版にあたる。
特に目新しい記述もなく新鮮みに欠けるのだが、カラヤンの誕生日を1908年4月6日としていることには驚かされる。
原書が手元になく、オリジナルがどう書かれているか確認できないが、これほどの有名人の生年月日を違えるのは、どのようにすればこのような結果になるか判らない。
この写真はカラヤン最後の写真として、89年7月に撮影された「仮面舞踏会」リハーサル合間のものである。
白い線の入ったトレーニングウェアである。
『宗教曲 & 合唱作品録音集』
ドイツ・グラモフォンより5つ目のボックス・セットとして、『宗教曲 & 合唱作品録音集』のリリースが予告されている。
DGG 4797060
全29枚セットといままでのボックス・セットに比べると小さいようだ。
内容は以下の通りである。
◎CD 1 モーツァルト:レクイエム
ヴィルマ・リップ(ソプラノ), ヒルデ・レッセル=マイダン(アルト), アントン・デルモータ(テノール), ヴァルター・ベリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル
[録音]1961年10月5~12日
◎CD 2 ブラームス:ドイツ・レクイエム
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), エーベルハルト・ヴェヒター(バリトン), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル
[録音]1964年5月16~18日
◎CD 3-4 ハイドン:オラトリオ『天地創造』
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール), ヘルマン・プライ(バリトン), キム・ボルイ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1965年8月29日 ザルツブルク.ライヴ
◎CD 5-6 ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ), フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール), ヴァルター・ベリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル
[録音]1966年2月21~28日
◎CD 7-8 ハイドン:オラトリオ『天地創造』
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト), フリッツ・ヴンダーリッヒ(テノール), ヴェルナー・クレン(テノール), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン), ヴァルター・ベリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル
[録音]1966年2月22~28日、1968年9月26~30日
◎CD 9-10 ヴェルディ:レクイエム
ミレッラ・フレーニ(ソプラノ), クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト), カルロ・コッスッタ(テノール), ニコライ・ギャウロフ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル
[録音]1972年1月3~5日
◎CD 11-13 J.S.バッハ:マタイ受難曲
ペーター・シュライアー(エヴァンゲリスト), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(イエス), グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)、クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト)、ホルスト・ラウベンタール(テノール)、ヴァルター・ベリー(バス)、ウィーン楽友協会合唱団、ベルリン国立合唱団少年団員、ベルリン大聖堂聖歌隊少年隊員, ベルリン・フィル
[録音]1971年12月14日、1972年1月5~7日、2月14日、6月7~26日、7月1日、11月1日
◎CD 21-22 ハイドン:オラトリオ『天地創造』
エディト・マティス(ソプラノ), フランシスコ・アライサ(テノール), ジョゼ・ヴァン・ダム(バス), アン・マレイ(アルト), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1982年8月18日 ザルツブルク.ライヴ
◎CD 23-24 ブラームス:ドイツ・レクイエム
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ), ジョゼ・ヴァン・ダム(バリトン), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1983年5月4~8日
ブルックナー:テ・デウム
ジャネット・ペリー(ソプラノ), ヘルガ・ミューラー=モリナーリ(アルト), エスタ・ヴィンベルイ(テノール), アレクザンダー・マルタ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1984年9月22日
◎CD 25-26 ヴェルディ:レクイエム
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ), アグネス・バルツァ(メゾ・ソプラノ), ホセ・カレーラス(テノール), ジョゼ・ヴァン・ダム(バス), ウィーン国立歌劇場合唱連盟, ソフィア国立歌劇場合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1984年6月5~13日
◎CD 27 モーツァルト:戴冠ミサ曲
キャスリーン・バトル(ソプラノ), トゥルデリーゼ・シュミット(アルト), エスタ・ヴィンベルイ(テノール), フェルッチョ・フルラネット(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1985年6月29日 ヴァチカン.ライヴ
◎CD 28 ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
レッラ・クベッリ(ソプラノ), トゥルデリーゼ・シュミット(アルト), ヴィンソン・コール(テノール), ジョゼ・ヴァン・ダム(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル[録音]1985年9月25~29日
◎CD 29 モーツァルト:レクイエム
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ), ヘルガ・ミューラー=モリナーリ(アルト), ヴィンソン・コール(テノール), パータ・ブルシュラーゼ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル
[録音]1986年5月26日~6月1日
発売は2017年2月28日が予定されている。