プラハ公演(1966年)リハーサル風景

1966年5月、カラヤンベルリン・フィルを率いてプラハで2回の演奏会を持った。

その時の「ニュース映像」にリハーサルの様子が含まれている。

2回の演奏会の曲目は次の通りである。

5月29日 モーツァルト/ディヴェルティメント第15番

      ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」

5月30日 バルトーク管弦楽のための協奏曲

      ドヴォルザーク交響曲第8番

この直前にはベルリン・フィルと日本公演を行なっており、世界の主要都市からの招聘が続いていていた、最も忙しい時期でもあった。

 

ウィーン直行便の再開

 

オーストリア航空は、昨年9月より運行を休止していた「成田~ウィーン線」を2018年5月16日より再開するとのニュースが飛び込んできた。

国土交通省への認可申請中とのことで、週5便(月・火・水・木・土曜日)が予定されているという。

https://twitter.com/Lufthansa_JP

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ボーイング777-200型機の運行予定である。

ザルツブルク・アニフ村への訪問が遠のいていたので、この夏一番の朗報である。

「暗黙の了解」の例外

カラヤンベルリン・フィルの第4代の常任指揮者であった期間、他の指揮者はベルリン・フィルを指揮して、ベートーヴェンブラームス交響曲を録音しないという「暗黙の了解」があった。

Kの韻を踏んで、"Kaiser - Karajan" と呼ばれ、(日本では「帝王カラヤン」の名を欲しいままにして)絶大な人気を博していた70年代以降は以降は言うまでもないが、60年代の初めにわずかな例外を指摘できるが、この「暗黙の了解」は守られ続けた。

反対にカラヤンベルリン・フィル以外のオーケストラを指揮するとき、(これは主にウィーン・フィルに限られていたわけだが)ベートーヴェンブラームス交響曲は演奏しないとの「暗黙の了解」があった。

カラヤンの晩年におけるウィーン・フィルとの演奏会、レコーディングにおいてブルックナーチャイコフスキーシューマンモーツァルトシューベルトドヴォルザーク交響曲が取り上げられたのはこのためである。

しかし、これも1984年に例外がある。

この年はベルリン・フィルとの軋轢が生じていて、ザルツブルク聖霊降臨祭、ザルツブルク音楽祭ルツェルン国際音楽祭ではウィーン・フィルブラームス交響曲第1番が演奏された。

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この写真は1984年6月11日、ザルツブルク聖霊降臨祭でウィーン・フィルブラームス交響曲第1番を指揮しているときのものである。

カラヤン 最後の映像

カラヤンは亡くなる5ヶ月ほど前に、ウィーン・フィルとニューヨークのカーネギーホールで3回の公演を行なった。

このニュース映像はこの時のもので、現在確認できるカラヤンの最後の映像と云うことになる。

わずか1分ほどの短い映像だが、眼光鋭く、両腕も高く振り上げて、ブルックナー交響曲第8番の第4楽章・終結部をリハーサルするカラヤンの勇姿を見ることが出来る。

【公開リハーサル音源】 ワーグナー/ジークフリート牧歌

 

1988年3月27日にザルツブルクイースター音楽祭後援会・会員向けに行なわれた公開リハーサルの音源、ワーグナージークフリート牧歌を確認した。

 この音源はオーストリア・第1ラジオで2014年7月に「カラヤン没後25年番組」として放送されたものである。

http://oe1.orf.at/programm/377251

通常の公開リハーサルでは、カラヤン自らマイクを持って客席の会員にわかりやすく、曲目を解説しつつリハーサルを行なうのだが、このジークフリート牧歌は一度も止めることなく全曲を通して演奏されている。

また、1987年4月12日には、この年の公開リハーサルが行なわれており、R.シュトラウス交響詩ドン・キホーテ」のリハーサル音源が存在する。

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この4枚の写真は、年次は判らないがイースター音楽祭での公開リハーサルのものである。

1988年のジークフリート牧歌が確認されたことで、カラヤンの生涯演奏会回数は3533回(幼少期のピアノ演奏会は除いて)となった。

 

 

 

 

【新刊】カール・レーブル 「僕は奇跡なんかじゃなかった」 音楽之友社

音楽之友社よりカール・レーブル著/関根裕子訳「ヘルベルト・フォン・カラヤン 僕は奇跡なんかじゃなかった-その伝説と実像-」【ISBN978-4-276-20379-2 C1073】が刊行された。

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著者のカール・レーブルは1930年生まれで2014年にお亡くなりになっている。

原書は2014年にウィーンの Seifert Verlag より刊行されており、1978年に書かれた "Das Wunder KARAJAN" (「奇跡のカラヤン」)の新装版にあたる。

特に目新しい記述もなく新鮮みに欠けるのだが、カラヤンの誕生日を1908年4月6日としていることには驚かされる。

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原書が手元になく、オリジナルがどう書かれているか確認できないが、これほどの有名人の生年月日を違えるのは、どのようにすればこのような結果になるか判らない。

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この写真はカラヤン最後の写真として、89年7月に撮影された「仮面舞踏会」リハーサル合間のものである。

白い線の入ったトレーニングウェアである。

『宗教曲 & 合唱作品録音集』

ドイツ・グラモフォンより5つ目のボックス・セットとして、『宗教曲 & 合唱作品録音集』のリリースが予告されている。

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DGG 4797060

全29枚セットといままでのボックス・セットに比べると小さいようだ。

内容は以下の通りである。

◎CD 1 モーツァルト:レクイエム
ヴィルマ・リップ(ソプラノ), ヒルデ・レッセル=マイダン(アルト), アントン・デルモータ(テノール), ヴァルター・ベリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル

[録音]1961年10月5~12日


◎CD 2 ブラームス:ドイツ・レクイエム
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), エーベルハルト・ヴェヒター(バリトン), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル

[録音]1964年5月16~18日


◎CD 3-4 ハイドン:オラトリオ『天地創造
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール), ヘルマン・プライ(バリトン), キム・ボルイ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1965年8月29日 ザルツブルク.ライヴ


◎CD 5-6 ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ), フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール), ヴァルター・ベリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル

[録音]1966年2月21~28日


◎CD 7-8 ハイドン:オラトリオ『天地創造
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ), クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト), フリッツ・ヴンダーリッヒ(テノール), ヴェルナー・クレン(テノール), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン), ヴァルター・ベリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル

[録音]1966年2月22~28日、1968年9月26~30日


◎CD 9-10 ヴェルディ:レクイエム
ミレッラ・フレーニ(ソプラノ), クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト), カルロ・コッスッタ(テノール), ニコライ・ギャウロフ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル

[録音]1972年1月3~5日


◎CD 11-13 J.S.バッハ:マタイ受難曲
ペーター・シュライアー(エヴァンゲリスト), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(イエス), グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)、クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト)、ホルスト・ラウベンタール(テノール)、ヴァルター・ベリー(バス)、ウィーン楽友協会合唱団、ベルリン国立合唱団少年団員、ベルリン大聖堂聖歌隊少年隊員, ベルリン・フィル

[録音]1971年12月14日、1972年1月5~7日、2月14日、6月7~26日、7月1日、11月1日


 ◎CD 21-22 ハイドン:オラトリオ『天地創造
 エディト・マティス(ソプラノ), フランシスコ・アライサ(テノール), ジョゼ・ヴァン・ダム(バス), アン・マレイ(アルト), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1982年8月18日 ザルツブルク.ライヴ


◎CD 23-24 ブラームス:ドイツ・レクイエム
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ), ジョゼ・ヴァン・ダム(バリトン), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1983年5月4~8日


ブルックナー:テ・デウム
ジャネット・ペリー(ソプラノ), ヘルガ・ミューラー=モリナーリ(アルト), エスタ・ヴィンベルイ(テノール), アレクザンダー・マルタ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1984年9月22日


 ◎CD 25-26 ヴェルディ:レクイエム
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ), アグネス・バルツァ(メゾ・ソプラノ), ホセ・カレーラス(テノール), ジョゼ・ヴァン・ダム(バス), ウィーン国立歌劇場合唱連盟, ソフィア国立歌劇場合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1984年6月5~13日


◎CD 27 モーツァルト:戴冠ミサ曲
キャスリーン・バトル(ソプラノ), トゥルデリーゼ・シュミット(アルト), エスタ・ヴィンベルイ(テノール), フェルッチョ・フルラネット(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1985年6月29日 ヴァチカン.ライヴ


◎CD 28 ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
レッラ・クベッリ(ソプラノ), トゥルデリーゼ・シュミット(アルト), ヴィンソン・コール(テノール), ジョゼ・ヴァン・ダム(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ベルリン・フィル[録音]1985年9月25~29日


◎CD 29 モーツァルト:レクイエム
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ), ヘルガ・ミューラー=モリナーリ(アルト), ヴィンソン・コール(テノール), パータ・ブルシュラーゼ(バス), ウィーン楽友協会合唱団, ウィーン・フィル

[録音]1986年5月26日~6月1日

発売は2017年2月28日が予定されている。