愛蔵家盤・ベートーヴェン/交響曲全集
1975-77年録音のベートーヴェン/交響曲全集に通常セットと分売盤以外に、愛蔵家向けのカラヤン直筆サインの入った「ナンバーカード」付きの革装ボックス盤がある。
現在確認できている国別の制作数は次の通りである。
イギリス 2000
イタリア 2000
日本 1510
ドイツ 1200
アメリカ 1000
カナダ 500
フランス 400
ベルギー 250
オーストリア 200
関係者向け 50
ドイツ、オーストリアが非常に少ないとも思うが、70年代後半のカラヤンのレコード販売市場の様子が反映されていると思う。
日本だけ10という端数が付いているのだが、皇室に献上された数なのかもしれない。
価格は30,000円で、通常盤の8枚組は18,400円の販売価格であった。
日本では1510セットが直ぐにいっぱいになってしまい、アメリカ向けのものをある程度分けてもらって予約者に渡したと聞いている。
【愛蔵家盤・贈呈式で、関係者向け「1番」を受け取るカラヤン・ファミリー】
ただ、豪華装丁の牛革ボックスだが、日本のような高温多湿の環境では、数年を経て茶色のシミが浮き出てしまって、完全美品にお目にかかったことはない。
発売延期 生誕110年記念・「カラヤン録音大全集」 356枚組
当初発売が11月上旬に予定されていた、「カラヤン録音大全集」が1ヶ月ほど発売が延期された。詳しい理由は分からないが、全世界で2,500セットというのは少なすぎる数ではないだろうか。
現在はインターネットで予約なので、国別や地域ごとに販売セット数を割り当てるような事はないのだろうが、仮に日本に全体の20%が販売予測されたとしても、その数は不足すると思われる。
【以下11月7日の記事を再録します】
まもなく、カラヤンの生誕110年を記念して、超大型企画BOXセットが発売される。
内容はCDが330枚、DVDが24枚、Blu-ray Audioが2枚という計356枚のセットで、DGGとDeccaへ録音した音源が全てが揃うことになる。革張りの外箱付きで総重量は14.6㎏という。詳細はドイツ・グラモフォンのサイトを参照して欲しい。
シリアル・ナンバーが入った完全限定盤であり、CDショップでは10万円を切る価格が表示されている。
国内では2004年に「栄光のカラヤン大全集」(UCCG90001~240)という240枚組のセットがあっが、その企画を凌ぐことになる。
どのようなBOXセットであるか、発売が待たれるところである。
ある音楽写真家の訃報
この夏、長年「音楽写真」の分野でご活躍されていたカメラマンの方がご逝去なされたのを最近になって知った。
ヘルベルト・フォン・カラヤン ⓒ 堀田正矩
「レコード芸術」誌に4期 42回にわたって連載した「名演奏家のディスコグラフィ ヘルベルト・フォン・カラヤン」と、それをまとめた ONTOMO MOOK「カラヤン 全記録を追う」の全てのジャケット写真を撮影されたカメラマンでもある。
「レコ芸」編集部で幾度もお会いしたほか、ご自宅が非常に近かったため、撮影をお願いするジャケットの受け渡しや返却の際に、何度もお会する機会があった。
たいへん穏やかな口調で打ち合わせの際には、いろいろな音楽家にまつわる話を伺うことも出来た。
「カラヤン 全記録を追う」のジャケット撮影は、重たい機材とたくさんのフィルムをお持ちになって来ていただき、一日がかりであったことを懐かしく思い出される。
シルバー・ジャケット(「クリスマス協奏曲集」DGG 2530 070)と、ゴールド・ジャケット(「ヴェルディ/レクイエム」DGG 2707 065)の撮影は、アルミ箔をくしゃくしゃにしてかざし、光を乱反射させる裏技を見せてもらった。
2007年春、ミューザ川崎・シンフォニーホールのギャラリーにて「写真展・私が出会った巨匠たち」が開催され、永年かかって撮り貯められた数多くの音楽家たちの写真に混ざってカラヤンの写真も展示されていて一際目を引いた。
写真展の会場ではお目にかかれなかったが、後日丁寧なお礼状が届いた。
そこには一枚のカラヤンの写真が同封されていた。
ご一緒に仕事が出来たことを厚くお礼申し上げます。
ありがとうございました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
初出音源 リリース 予告
ICA Classics より初出音源となる2枚組CDの発売が予告されている。
【 ICAC 5142 】
曲目はチャイコフスキー/交響曲第4番(1955年5月1日)、ラヴェル/スペイン狂詩曲(1955年10月18日)、モーツァルト/交響曲第35番「ハフナー」・ピアノ協奏曲第23番(クララ・ハスキル)・交響曲第41番「ジュピター」(1956年2月6日)で、フィルハーモニア管弦楽団を指揮したロイヤル・フェスティバルホールでの録音である。
イギリス放送協会の収録で、この時代のフィルハーモニア管弦楽団とのライブ音源が、60年を経てCD化されるのは嬉しい限りである。
クララ・ハスキルとのモーツァルト/協奏曲第23番は大変珍しい録音になる。
1956年はモーツァルト「生誕200年」の記念年で、年頭よりカラヤンはハスキルと各地でモーツァルトを取り上げていたが、第23番の録音がロンドンで残されていたことになる。
10月19日のリリース予定で、発売が待たれる。
ウィーン直行便の再開
オーストリア航空は、昨年9月より運行を休止していた「成田~ウィーン線」を2018年5月16日より再開するとのニュースが飛び込んできた。
国土交通省への認可申請中とのことで、週5便(月・火・水・木・土曜日)が予定されているという。
https://twitter.com/Lufthansa_JP
ボーイング777-200型機の運行予定である。
ザルツブルク・アニフ村への訪問が遠のいていたので、この夏一番の朗報である。
「暗黙の了解」の例外
カラヤンがベルリン・フィルの第4代の常任指揮者であった期間、他の指揮者はベルリン・フィルを指揮して、ベートーヴェンとブラームスの交響曲を録音しないという「暗黙の了解」があった。
Kの韻を踏んで、"Kaiser - Karajan" と呼ばれ、(日本では「帝王カラヤン」の名を欲しいままにして)絶大な人気を博していた70年代以降は以降は言うまでもないが、60年代の初めにわずかな例外を指摘できるが、この「暗黙の了解」は守られ続けた。
反対にカラヤンがベルリン・フィル以外のオーケストラを指揮するとき、(これは主にウィーン・フィルに限られていたわけだが)ベートーヴェンとブラームスの交響曲は演奏しないとの「暗黙の了解」があった。
カラヤンの晩年におけるウィーン・フィルとの演奏会、レコーディングにおいてブルックナーやチャイコフスキー、シューマン、モーツァルト、シューベルト、ドヴォルザークの交響曲が取り上げられたのはこのためである。
しかし、これも1984年に例外がある。
この年はベルリン・フィルとの軋轢が生じていて、ザルツブルク聖霊降臨祭、ザルツブルク音楽祭、ルツェルン国際音楽祭ではウィーン・フィルとブラームスの交響曲第1番が演奏された。
この写真は1984年6月11日、ザルツブルク聖霊降臨祭でウィーン・フィルとブラームスの交響曲第1番を指揮しているときのものである。