岡山県倉敷市の旅
1966年、カラヤンは夫人を伴ってベルリンと日本演奏旅行を行い、全国で18公演を指揮した。
うち4月24日の岡山県倉敷市での様子が、下記のサイトに紹介されている。
「旅 Voyages 指揮者カラヤンが愛した倉敷の旅路」
http://espritjapon.com/voyages.php?2015032700
同日、岡山市の岡山市民会館で演奏会は行われたが、夫妻は倉敷で宿泊されたのであった。
倉敷国際ホテルや大原孫三郎氏の別邸「有隣荘」(別名「緑御殿」)や大原美術館での写真とともに、当時の詳しい様子が語られている。
また、東芝音楽工業が作製した冊子には、西日本の演奏旅行中に宇高連絡船上で楽員らとくつろぐカラヤン夫妻の写真が載っている。
【広島の原爆ドームを背景にたたずむエリエッテ夫人】
プライヴェートの写真がたくさん見つかると、当時の様子を詳しく知ることが出来る。
シュナイダーハンとの共演
membranというレーベルから "Milestones Of A Violin Legend" というタイトルで、ヴォルフガング・シュナイターハンの10枚組セットの販売が予告されている。
1枚目が1955年8月27日にルツェルンのクンストハウスで演奏された、カラヤン指揮によるベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲になっている。
ルツェルン音楽祭でのルツェルン祝祭管弦楽団との共演で、以前にもいくつかのレーベルでCD化されている演奏である。
シュナイダーハンをソリストして迎えて共演は記録上それほど多くはないが、ウィーンでの一時期カラヤンにとっても、ごく身近な存在であったはずである。
1955年はカラヤンにとって大きな飛躍になる時期で、夏のこの録音も溌剌とした演奏が冴えている。
ネットでの販売価格は10枚組で2,000円を切る価格が表示されている。
アフリカでのコンサート
カラヤンの演奏会記録を調べていると、生涯でただ一度だけチュニジアのチュニスで演奏会を行っているデータがある。
といっても、現地のオーケストラを客演指揮したものではなく、エリーザベト・シュヴァルツコップの「歌曲リサイタル」のピアノ伴奏を担当した記録である。
日付は1953年9月中旬で、日付と演奏された曲目は特定できない。
オズボーンの伝記によると、チュニス訪問は二人の夏休みの個人的な休暇旅行にすぎず、「リサイタル」は事前に予定されていたものではなく、カラヤンのヨットの繋留権をめぐるチュニジア当局との和解案として行われたものであるという。
ということは二人はイタリアのどこかの港から地中海を渡ってチュニジアに行ったのだろうか?
シュヴァルツコップは、ちょうど一か月前にザルツブルク音楽祭で、フーゴ・ヴォルフの「没後50年記念演奏会」を持っている。
8月12日にモーツァルム音楽院ホールでことであって、ヴォルフの歌曲から「さようなら」「眠れる幼児イエス」「妖精の歌」など全22曲を歌っていて、ピアノ伴奏はなんとウィルヘルム・フルトヴェングラーであった。
この演奏会での様子はシュヴァルツコップからカラヤンは聞いていただであろうし、チュニスでカラヤンがピアノ伴奏した曲目は、フルトヴェングラーに対抗してヴォルフだったかもしれないし、前後の演奏会記録をみるとミラノやローマでモーツァルトのオペラを取り上げているので、それらが取り上げられたのかもしれない。
現地の当時の新聞などを調べれば、詳しい記録を見ることが出来るかもしれないが、今のところそれは不可能である。
1931年のプログラム
ずいぶんと前からカラヤンのプログラムを収集しているが、戦前のものに出会う事が希である。
海外のネット・オークションなどで見つけるチャンスは増えているのだが、戦前のものは本当に少ない。
最近1931年7月22日のプログラムを入手する機会に恵まれた。
演奏された曲目は次の通りである。
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
シューマン/ピアノ協奏曲
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
オーケストラはモーツァルテウム音楽院管弦楽団、ピアノはラルフ・ロートンであった。
カラヤンの名前の表記は Herbert Karajanで、言うまでもなく von が入っていない。
この時代の写真も手元に1枚あるのみである。
【1934年・26歳のカラヤン】
愛蔵家盤・ベートーヴェン/交響曲全集
1975-77年録音のベートーヴェン/交響曲全集に通常セットと分売盤以外に、愛蔵家向けのカラヤン直筆サインの入った「ナンバーカード」付きの革装ボックス盤がある。
現在確認できている国別の制作数は次の通りである。
イギリス 2000
イタリア 2000
日本 1510
ドイツ 1200
アメリカ 1000
カナダ 500
フランス 400
ベルギー 250
オーストリア 200
関係者向け 50
ドイツ、オーストリアが非常に少ないとも思うが、70年代後半のカラヤンのレコード販売市場の様子が反映されていると思う。
日本だけ10という端数が付いているのだが、皇室に献上された数なのかもしれない。
価格は30,000円で、通常盤の8枚組は18,400円の販売価格であった。
日本では1510セットが直ぐにいっぱいになってしまい、アメリカ向けのものをある程度分けてもらって予約者に渡したと聞いている。
【愛蔵家盤・贈呈式で、関係者向け「1番」を受け取るカラヤン・ファミリー】
ただ、豪華装丁の牛革ボックスだが、日本のような高温多湿の環境では、数年を経て茶色のシミが浮き出てしまって、完全美品にお目にかかったことはない。
発売延期 生誕110年記念・「カラヤン録音大全集」 356枚組
当初発売が11月上旬に予定されていた、「カラヤン録音大全集」が1ヶ月ほど発売が延期された。詳しい理由は分からないが、全世界で2,500セットというのは少なすぎる数ではないだろうか。
現在はインターネットで予約なので、国別や地域ごとに販売セット数を割り当てるような事はないのだろうが、仮に日本に全体の20%が販売予測されたとしても、その数は不足すると思われる。
【以下11月7日の記事を再録します】
まもなく、カラヤンの生誕110年を記念して、超大型企画BOXセットが発売される。
内容はCDが330枚、DVDが24枚、Blu-ray Audioが2枚という計356枚のセットで、DGGとDeccaへ録音した音源が全てが揃うことになる。革張りの外箱付きで総重量は14.6㎏という。詳細はドイツ・グラモフォンのサイトを参照して欲しい。
シリアル・ナンバーが入った完全限定盤であり、CDショップでは10万円を切る価格が表示されている。
国内では2004年に「栄光のカラヤン大全集」(UCCG90001~240)という240枚組のセットがあっが、その企画を凌ぐことになる。
どのようなBOXセットであるか、発売が待たれるところである。