ある音楽写真家の訃報
この夏、長年「音楽写真」の分野でご活躍されていたカメラマンの方がご逝去なされたのを最近になって知った。
ヘルベルト・フォン・カラヤン ⓒ 堀田正矩
「レコード芸術」誌に4期 42回にわたって連載した「名演奏家のディスコグラフィ ヘルベルト・フォン・カラヤン」と、それをまとめた ONTOMO MOOK「カラヤン 全記録を追う」の全てのジャケット写真を撮影されたカメラマンでもある。
「レコ芸」編集部で幾度もお会いしたほか、ご自宅が非常に近かったため、撮影をお願いするジャケットの受け渡しや返却の際に、何度もお会する機会があった。
たいへん穏やかな口調で打ち合わせの際には、いろいろな音楽家にまつわる話を伺うことも出来た。
「カラヤン 全記録を追う」のジャケット撮影は、重たい機材とたくさんのフィルムをお持ちになって来ていただき、一日がかりであったことを懐かしく思い出される。
シルバー・ジャケット(「クリスマス協奏曲集」DGG 2530 070)と、ゴールド・ジャケット(「ヴェルディ/レクイエム」DGG 2707 065)の撮影は、アルミ箔をくしゃくしゃにしてかざし、光を乱反射させる裏技を見せてもらった。
2007年春、ミューザ川崎・シンフォニーホールのギャラリーにて「写真展・私が出会った巨匠たち」が開催され、永年かかって撮り貯められた数多くの音楽家たちの写真に混ざってカラヤンの写真も展示されていて一際目を引いた。
写真展の会場ではお目にかかれなかったが、後日丁寧なお礼状が届いた。
そこには一枚のカラヤンの写真が同封されていた。
ご一緒に仕事が出来たことを厚くお礼申し上げます。
ありがとうございました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。