ショスタコーヴィチ/交響曲第9番

カラヤンの生涯にわたっての演奏会記録にも、膨大な量の盤歴(レコーディング歴)にも、ショスタコーヴィチ交響曲第9番作品70は存在しない。

ところがだいぶ以前に、NHK-FM放送ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮チャイコフスキー音楽院管弦楽団の演奏とする、ショスタコーヴィチ交響曲第9番の音源が放送されたことがあった。

それは1975年の11月26日の「FMコンサート/ベルリン・フィル・シリーズ」の中で、ベルリン・フィルのライブ音源放送の後に、「ベルリン・フィル物語」と題してドイチェ・ベレ放送協会提供の録音テープに解説を付けて、5回に分けて放送された最終回「さまざまな活動と未来への展望」の中でのことであった。

解説は丸山桂介氏が担当し、第1楽章のわずか40秒ほどのものであった。

カラヤン財団」は1969年から、9月のシーズンの始まりで1年ごとに、「指揮者コンクール」と世界各国の青少年オーケストラをベルリンに招きミーティングを行ない、選抜メンバーによる演奏会を開く催しを行なっていた。

この「国際青少年オーケストラ」を指揮したカラヤンの演奏会記録は、次の4回が確認できる。

1970年9月27日 ブラームス交響曲第2番

1972年9月27日 モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番(ダヴィツト・オイストラフ

1974年9月24日 モーツァルト/3台のピアノのための協奏曲(ポミエ/フランツ/カラヤン

1976年9月26日 ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲

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この写真は、ベルリン・フィルのブレッター70/71年シーズンの第2号巻頭に掲載されているものであるが、1970年9月27日のブラームス交響曲第2番演奏時のものとされる。

隔年に行なわれた「指揮者コンクール」は受賞者が決定されるわけであるから、マスコミ向けの資料や写真は多く存在するのだが、選抜された「国際青少年オーケストラ」については詳しいことが全くわからない。

チャイコフスキー音楽院管弦楽団が何年に参加したのかもわからない。

ただ、カラヤンが演奏会で取り上げたことのない曲を青少年オーケスト相手に指揮する可能性はほとんどなく、ドイチェ・ベレ放送協会の間違いであると考えられる。

「国際青少年オーケストラ」について、当時参加された方、選抜演奏会を聴かれた方など、何かご存じの方がいらっしゃれば、詳しいことをご教授ください。