アフリカでのコンサート
カラヤンの演奏会記録を調べていると、生涯でただ一度だけチュニジアのチュニスで演奏会を行っているデータがある。
といっても、現地のオーケストラを客演指揮したものではなく、エリーザベト・シュヴァルツコップの「歌曲リサイタル」のピアノ伴奏を担当した記録である。
日付は1953年9月中旬で、日付と演奏された曲目は特定できない。
オズボーンの伝記によると、チュニス訪問は二人の夏休みの個人的な休暇旅行にすぎず、「リサイタル」は事前に予定されていたものではなく、カラヤンのヨットの繋留権をめぐるチュニジア当局との和解案として行われたものであるという。
ということは二人はイタリアのどこかの港から地中海を渡ってチュニジアに行ったのだろうか?
シュヴァルツコップは、ちょうど一か月前にザルツブルク音楽祭で、フーゴ・ヴォルフの「没後50年記念演奏会」を持っている。
8月12日にモーツァルム音楽院ホールでことであって、ヴォルフの歌曲から「さようなら」「眠れる幼児イエス」「妖精の歌」など全22曲を歌っていて、ピアノ伴奏はなんとウィルヘルム・フルトヴェングラーであった。
この演奏会での様子はシュヴァルツコップからカラヤンは聞いていただであろうし、チュニスでカラヤンがピアノ伴奏した曲目は、フルトヴェングラーに対抗してヴォルフだったかもしれないし、前後の演奏会記録をみるとミラノやローマでモーツァルトのオペラを取り上げているので、それらが取り上げられたのかもしれない。
現地の当時の新聞などを調べれば、詳しい記録を見ることが出来るかもしれないが、今のところそれは不可能である。