シュナイダーハンとの共演

membranというレーベルから "Milestones Of A Violin Legend" というタイトルで、ヴォルフガング・シュナイターハンの10枚組セットの販売が予告されている。

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1枚目が1955年8月27日にルツェルンのクンストハウスで演奏された、カラヤン指揮によるベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲になっている。

ルツェルン音楽祭でのルツェルン祝祭管弦楽団との共演で、以前にもいくつかのレーベルでCD化されている演奏である。

シュナイダーハンをソリストして迎えて共演は記録上それほど多くはないが、ウィーンでの一時期カラヤンにとっても、ごく身近な存在であったはずである。

1955年はカラヤンにとって大きな飛躍になる時期で、夏のこの録音も溌剌とした演奏が冴えている。

ネットでの販売価格は10枚組で2,000円を切る価格が表示されている。

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【1955年 ルツェルンで指揮するカラヤン

 

 

アフリカでのコンサート

カラヤンの演奏会記録を調べていると、生涯でただ一度だけチュニジアチュニスで演奏会を行っているデータがある。

といっても、現地のオーケストラを客演指揮したものではなく、エリーザベト・シュヴァルツコップの「歌曲リサイタル」のピアノ伴奏を担当した記録である。

日付は1953年9月中旬で、日付と演奏された曲目は特定できない。

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オズボーンの伝記によると、チュニス訪問は二人の夏休みの個人的な休暇旅行にすぎず、「リサイタル」は事前に予定されていたものではなく、カラヤンのヨットの繋留権をめぐるチュニジア当局との和解案として行われたものであるという。

ということは二人はイタリアのどこかの港から地中海を渡ってチュニジアに行ったのだろうか?

シュヴァルツコップは、ちょうど一か月前にザルツブルク音楽祭で、フーゴ・ヴォルフの「没後50年記念演奏会」を持っている。

8月12日にモーツァルム音楽院ホールでことであって、ヴォルフの歌曲から「さようなら」「眠れる幼児イエス」「妖精の歌」など全22曲を歌っていて、ピアノ伴奏はなんとウィルヘルム・フルトヴェングラーであった。

この演奏会での様子はシュヴァルツコップからカラヤンは聞いていただであろうし、チュニスカラヤンがピアノ伴奏した曲目は、フルトヴェングラーに対抗してヴォルフだったかもしれないし、前後の演奏会記録をみるとミラノやローマでモーツァルトのオペラを取り上げているので、それらが取り上げられたのかもしれない。

現地の当時の新聞などを調べれば、詳しい記録を見ることが出来るかもしれないが、今のところそれは不可能である。

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ミラノ・スカラ座での「フィガロの結婚」1954年2月】

 

ヴァチカン・カメラリハーサル

 

1985年6月29日にヴァチカンのサンピエトロ大聖堂で行われたモーツァルトの「戴冠ミサ曲」にカメラ・リハーサルの映像があることを最近知った。

全体で11分25秒ほどの短いものだが、後半8分50秒あたりからカラヤン本人が登場する。

カメラ・リハーサルなので、実際のソリストとは違う方が歌っているし、そもそもオーケストラがウィーン・フィルではなく、学生のオーケストラを持ってきている。

詳しい日付等はわからないが、貴重な映像であることには違いない。f:id:anifmura:20180219143757j:plain

【リハーサル合間のカラヤン夫妻】

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【こちらの写真にも学生オーケストラが写りこんでいる】

1931年のプログラム

ずいぶんと前からカラヤンのプログラムを収集しているが、戦前のものに出会う事が希である。

海外のネット・オークションなどで見つけるチャンスは増えているのだが、戦前のものは本当に少ない。

最近1931年7月22日のプログラムを入手する機会に恵まれた。

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演奏された曲目は次の通りである。

ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲

シューマン/ピアノ協奏曲

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番

R.シュトラウス交響詩ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら

オーケストラはモーツァルテウム音楽院管弦楽団、ピアノはラルフ・ロートンであった。

カラヤンの名前の表記は Herbert Karajanで、言うまでもなく von が入っていない。

この時代の写真も手元に1枚あるのみである。

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【1934年・26歳のカラヤン

愛蔵家盤・ベートーヴェン/交響曲全集

1975-77年録音のベートーヴェン交響曲全集に通常セットと分売盤以外に、愛蔵家向けのカラヤン直筆サインの入った「ナンバーカード」付きの革装ボックス盤がある。

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現在確認できている国別の制作数は次の通りである。

イギリス  2000

イタリア  2000

日本    1510

ドイツ   1200

アメリカ  1000

カナダ    500

フランス   400

ベルギー   250

オーストリア 200

関係者向け   50

ドイツ、オーストリアが非常に少ないとも思うが、70年代後半のカラヤンのレコード販売市場の様子が反映されていると思う。

日本だけ10という端数が付いているのだが、皇室に献上された数なのかもしれない。

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価格は30,000円で、通常盤の8枚組は18,400円の販売価格であった。

日本では1510セットが直ぐにいっぱいになってしまい、アメリカ向けのものをある程度分けてもらって予約者に渡したと聞いている。

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【愛蔵家盤・贈呈式で、関係者向け「1番」を受け取るカラヤン・ファミリー】

ただ、豪華装丁の牛革ボックスだが、日本のような高温多湿の環境では、数年を経て茶色のシミが浮き出てしまって、完全美品にお目にかかったことはない。

 

発売延期 生誕110年記念・「カラヤン録音大全集」 356枚組

 

www.deutschegrammophon.com

当初発売が11月上旬に予定されていた、「カラヤン録音大全集」が1ヶ月ほど発売が延期された。詳しい理由は分からないが、全世界で2,500セットというのは少なすぎる数ではないだろうか。

現在はインターネットで予約なので、国別や地域ごとに販売セット数を割り当てるような事はないのだろうが、仮に日本に全体の20%が販売予測されたとしても、その数は不足すると思われる。

【以下11月7日の記事を再録します】

まもなく、カラヤンの生誕110年を記念して、超大型企画BOXセットが発売される。

内容はCDが330枚、DVDが24枚、Blu-ray Audioが2枚という計356枚のセットで、DGGとDeccaへ録音した音源が全てが揃うことになる。革張りの外箱付きで総重量は14.6㎏という。詳細はドイツ・グラモフォンのサイトを参照して欲しい。

シリアル・ナンバーが入った完全限定盤であり、CDショップでは10万円を切る価格が表示されている。

国内では2004年に「栄光のカラヤン大全集」(UCCG90001~240)という240枚組のセットがあっが、その企画を凌ぐことになる。

どのようなBOXセットであるか、発売が待たれるところである。

 

 

ある音楽写真家の訃報

この夏、長年「音楽写真」の分野でご活躍されていたカメラマンの方がご逝去なされたのを最近になって知った。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン        ⓒ 堀田正矩

レコード芸術」誌に4期 42回にわたって連載した「名演奏家ディスコグラフィ ヘルベルト・フォン・カラヤン」と、それをまとめた ONTOMO MOOK「カラヤン 全記録を追う」の全てのジャケット写真を撮影されたカメラマンでもある。

レコ芸」編集部で幾度もお会いしたほか、ご自宅が非常に近かったため、撮影をお願いするジャケットの受け渡しや返却の際に、何度もお会する機会があった。

たいへん穏やかな口調で打ち合わせの際には、いろいろな音楽家にまつわる話を伺うことも出来た。

カラヤン 全記録を追う」のジャケット撮影は、重たい機材とたくさんのフィルムをお持ちになって来ていただき、一日がかりであったことを懐かしく思い出される。

シルバー・ジャケット(「クリスマス協奏曲集」DGG 2530 070)と、ゴールド・ジャケット(「ヴェルディ/レクイエム」DGG 2707 065)の撮影は、アルミ箔をくしゃくしゃにしてかざし、光を乱反射させる裏技を見せてもらった。

2007年春、ミューザ川崎・シンフォニーホールのギャラリーにて「写真展・私が出会った巨匠たち」が開催され、永年かかって撮り貯められた数多くの音楽家たちの写真に混ざってカラヤンの写真も展示されていて一際目を引いた。

写真展の会場ではお目にかかれなかったが、後日丁寧なお礼状が届いた。

そこには一枚のカラヤンの写真が同封されていた。

ご一緒に仕事が出来たことを厚くお礼申し上げます。

ありがとうございました。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。