ラデツキー行進曲

デジタル録音期に入ってすぐの1980年6月、カラヤンベルリン・フィルシュトラウス・ファミリーの「ワルツ・ポルカ・マーチ・序曲集」を3枚組で完成させた。

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ボックスを飾ったのはダイヤモンドをちりばめた、ヴァイオリンの立ち姿であった。

収録された全23曲の並び順は次の通りである。

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【410 022-2 第1集】

皇帝円舞曲 作品437

トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214

ワルツ「南国のバラ」作品388

喜歌劇「ジプシー男爵」序曲

アンネン・ポルカ 作品117

ワルツ「酒・女・歌」作品333

ポルカ「狩り」作品373

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【400 027-2  第2集】

ラデツキー行進曲 作品228(J.シュトラウス Ⅰ世)

ワルツ「天体の音楽」作品235(ヨーゼフ・シュトラウス

常動曲 作品257

ワルツ「うわごと」作品212(ヨーゼフ・シュトラウス

ワルツ「ウィーンの森の物語」作品325

喜歌劇「こうもり」よりカドリーユ 作品367

ワルツ「ウィーン気質」作品354

ナポレオン行進曲 作品156

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【400 026-2  第3集】

ワルツ「美しく青きドナウ」作品314

ポルカハンガリー万歳」作品332

加速度円舞曲 作品234

ペルシャ行進曲 作品289

喜歌劇「こうもり」序曲

ポルカ「浮気心」作品319

ワルツ「芸術家の生涯」作品316

ポルカ「雷鳴と電光」作品324

録音はベルリンのフィルハーモニーで行なわれ、追加のセッションを9月と12月に持っている。

ここで注目されるのは、第2集の1曲目に「ラデツキー行進曲」が置かれていることである。

この曲目の配列決定に、カラヤン自身の意見が反映されたどうかは知らないが、最初にレコードに針を落としたときは、非常に驚いたことを記憶している。

ラデツキー行進曲」が1曲目に置かれているレコードがほかにあるであろうか?

レコードの場合、A面の最後の曲、B面の最初の曲という感覚もあるので、配列については様々な可能性があったと思う。

CDで分売された時も、この配列のままであった。

収録曲順の並びやジャケット・デザインの最終決定に、カラヤンがどこまで関わったかについての資料が出てくることはないと思われるが、膨大な「録音史」の中でも、特筆されるアルバムである。

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2人の孫娘

カラヤンの次女アラベルさんは結婚されていて、2人の娘さんがいる。

イーリア(Elia)さんとカリーナ(Kalina)ちゃんである。

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【イザベルさん(54)、エリエッテ夫人、アラベルさん(50)、イーリアさん】

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【カリーナちゃん(10)とエリエッテ夫人】

この2枚のプライヴェート写真は2009年に撮られたもので、オーストリアの "KURIER" 紙の電子版に掲載されたものである。

カリーナちゃんは10歳となっているが、イーリアさんの歳は記載されていない。20歳前後であろうか?

2人の名前の頭文字は、Eliette と Karajan の最初の文字から取られていることは間違いがない。

カラヤン・ファミリーは女系家族のようである。

 

1979年普門館・ヴェルディ/「レクイエム」

1979年10月、新芸術家協会招聘によるカラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の東京公演が杉並区にある普門館という巨大ホールで行なわれた。

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全9公演の内、後半5公演は初来日のウィーン楽友協会合唱団との共演で合唱付楽曲が演奏された。

合唱付楽曲は10月24日と最終日の26日がともに、ヴェルディの「レクイエム」と発表され、なぜ同じ曲を2回やるのかと訝しく思われた。

せっかく、ウィーン楽友協会合唱団が来日するのだから、バッハの「ロ短調ミサ曲」やベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」でも演奏して欲しいところであった。

チケットは一般発売に先だって、前半と後半の4公演ずつが同一席で聴ける「セット券」となって販売された。

ここでは、10月24日の公演分が単独チケット発売のみの別扱いとされた。

この前売りチラシは2種類存在し、一般発売日の4月8日の日付け入りのものは、演奏会の日付け順に並んでいるものの、ソリストの名前が空白になっているという奇妙なものであった。

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では何故、ヴェルディの「レクイエム」を2回行なったのかと推測すると、24日分を映像収録(テレビ中継)するために、別契約の交渉がなされていたのではないだろうか?

この公演の一般プレス発表が行なわれたのは、1月半ばで、前年の12月にはすでに詳細は決定されていて、映像収録の予定も当然検討されていたと考えられる。

実際には、どの日の演奏会も映像収録(テレビ中継)は行なわれなかったが、もし実現したとしたら、どんなにか良かったであろう。

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【10月24日 ヴェルディ/「レクイエム」 フレー二、バルツァ、カラヤン、リマ、ギャウロフとウィーン楽友協会合唱団】

 

モーツァルテウム音楽院・夏期講習

1932年の夏、カラヤンは生まれ故郷ザルツブルクの「モーツァルテウム音楽院」のサマーセミナーで、クレメンス・クラウス教授の指揮講習会で助手を務めた。

この時、音楽院の正面玄関で撮られた記念写真が残されている。

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中央が40歳のクラウス教授で、カラヤンは左手前列で右手をポケットに入れて正面を見据えている。

対の位置にいる、白の服で左手をポケットに入れているのは、カラヤンより4歳年下のエーリヒ・ラインスドルフである。

この時、カラヤンは25歳でウルム歌劇場に赴任していたが、夏休みの間はザルツブルクの両親のいる実家に帰っていたようである。

 

サル・プレイエル

ベルリン・フィルの「デジタル・コンサートホール」のデータで、バッハ/「ブランデンブルク協奏曲 第3番」と「管弦楽組曲 第2番」の収録日が1967年5月10日で、収録会場がパリのサル・プレイエルとなっている。 

パリのプレイエル(Salle Pleyel)が、録音場所としてデータに登場するのは初めてのケースである。

以前の「アニフ村だより」の記事で取り上げた際は、収録場所をベルリンに戦前からあるような中小のホールの可能性を推測したが、パリとは盲点であった。

国内盤のDVD(DLVC-9001)の解説書では、サン・モリッツでの夏場の収録との推測がされていたが、わざわざ15分ほどの曲2曲ために、映像収録機材をサン・モリッツまで移動するのは無理があると思われた。

カラヤンとフランスとの繋がりは深いものがある。

ただ、演奏会記録と付き合わせると、1967年4月30日ミュンヘンに始まるドイツ国内演奏旅行に出ており、5月8-9日はパリのシャンゼリゼ劇場、10-11日はロンドンのロイヤル・フェスティバルホール、14-15日はイタリアのフィレンツェで演奏会が催されている。

5月10日のデータが正しいとすれば、前日の晩に演奏会を行なった翌日の午前中、もしくはお昼過ぎまでに、バッハの映像2曲を収録して、空路ロンドンへ移動してその晩に演奏会を持ったことになる。

ちなみに、パリとロンドンの演奏曲は以下の通りである。

5月 8日 モーツァルト/ディヴェルティメント第15番

      ショスタコーヴィチ交響曲第10番

5月 9日 バッハ/ブランデンブルク協奏曲第2番

      シューマン交響曲第4番

      ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌボレロ

5月10日 【バッハ/2曲・映像収録】

      モーツァルト/ディヴェルティメント第15番

      ベルリオーズ幻想交響曲

5月11日 バッハ/ブランデンブルク協奏曲第6番

      シューマン交響曲第4番

      ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌボレロ

なお、10日のロンドンの開演時間は21:00と推定される。

 

奈良散策・東大寺大仏殿

1966年のベルリン・フィルの日本公演は、東京、大阪以外にも各都市を廻った。

大阪公演の翌日、カラヤン夫妻は奈良散策を楽しんだ。

東大寺春日大社での写真が残されている。

もちろん大仏殿の中にも入ったことであろう。

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鹿にエサを与えている一方、カラヤンは8ミリカメラを構えている。

これは日本製であろうか?

日本の最新技術には、いつも関心を示すカラヤンの姿がある。

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また、残された写真の内、オートバイにまたがっている一枚がある。

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これは、高松から松山に向かう途中で、愛媛県警の交通隊に先導してもらい、白バイ運転手の交代の時にカラヤンが乗車させてもらったという。

もちろん走ることはなかったと、写真のキャプションは伝えている。

 

「写真集」ウィーン・フィル版

エリック・ラッシングの写真集「HERBERT VON KARAJAN」にウィーン・フィルが作った特別版がある。

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写真集自体は一般に販売された原書と同じだが、重厚な帯が付き、金文字でウィーン・フィルのロゴ・マークが入り、"HERBERT VON KARAJAN  EDITION" の文字があり、シリアル・ナンバーが手書きされている。

また、1959年秋に行なわれた、「ウィーン・フィル 世界一周旅行」の記念リーフレットが挟まっている。

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さらに、1987年5月24日に楽友協会大ホールで収録された、モーツァルト交響曲第41番「ジュピター」とシューマン交響曲第4番の「ライブ音源盤」が添付している。

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500冊の限定本で、ウィーン・フィルの公式サイトで購入することが出来る。

http://www.wienerphilharmoniker.at/

価格は49ユーロ(+送料)である。